
こんにちは、つばめパンです。今日はあらためて、私たちが毎日の食パンづくりで大切にしていることを、正直なところをまじえてゆっくりお話しさせてください。結論から先にお伝えすると、私たちのこだわりはとてもシンプルで、「天然酵母」と「北海道美瑛産小麦100%」、そして「その日の生地の声を聞くこと」。この三つに尽きます。派手なことは何もしていません。ただ、名古屋の食パン専門店として、当たり前のことを毎日ていねいに積み重ねているだけなのです。
実は、こうしたお話をブログでまとめてご紹介するのは久しぶりでして、常連のお客様から「どうしてこんなに耳がやわらかいの」「なぜ翌日も美味しいの」とよく聞かれるので、この機会に私たちの現場のことを包み隠さずお伝えできたらと思っています。朝の四時前、まだ暗いうちから工房の灯りをつけて、その日の気温と湿度を確かめるところから私たちの一日は始まります。少しだけお付き合いください。
この記事のポイント
天然酵母と美瑛産小麦100%という、私たちが変えずに守ってきた土台のこと。そして毎朝の発酵管理や焼き上げで、私たちがどんなふうに手をかけ、どこで迷い、どんな例外に向き合っているのか。読み終えたころに、いつもの一枚がもっと愛おしくなっていたら嬉しいです。
今日のおさらい:要点3つ
・天然酵母をじっくり育て、時間をかけて発酵させることで、やさしい甘みとふんわりした口どけを生み出しています
・北海道美瑛産小麦100%を使い、小麦そのものの香りと甘みを主役にしています
・その日の温度と湿度に合わせて生地の状態を見極め、レシピの数字より生地の声を優先しています
この記事の結論
・私たちのこだわりは「特別なこと」ではなく「当たり前を毎日続けること」です
・素材と発酵に正直でいれば、食パンはちゃんと応えてくれます
・完璧ではなく、季節ごとの微調整を重ねながら、今日もパンを焼いています
変わらず守ってきた、私たちの土台
天然酵母をゆっくり育てるということ
私たちが天然酵母にこだわる理由は、けっして「流行っているから」ではありません。正直なところ、イーストを使えばもっと短い時間で、安定して、たくさん焼けます。それでも私たちが天然酵母を選び続けているのは、あの独特のやさしい甘みと、噛むほどにじわりと広がる風味が、どうしても天然酵母でしか出せないからです。
天然酵母は生きものですので、機嫌の良い日もあれば、少しむずかしい日もあります。私たちの元種は毎日少しずつ継ぎ足しながら育てていて、朝晩に様子を見てあげないと、すぐにへそを曲げてしまいます。気温の低い冬の朝、工房が10度を下回るような日などは、いつもなら数時間で立ち上がる発酵が思うように進まず、「もう少し待とうね」と声をかけながら見守ることもしばしば。逆に真夏はあっという間に進みすぎてしまうので、種を置く場所を変えたり、仕込み水の温度を少し下げたりして落ち着かせます。私たちは酵母のリズムに人が合わせる、という姿勢を大切にしています。時間はかかりますが、その手間こそが、あの口どけをつくっていると信じています。
北海道美瑛産小麦100%を選ぶ理由
もうひとつの土台が、北海道美瑛産の小麦を100%使っていることです。よくあるのが「国産小麦は扱いがむずかしい」というお声で、それは私たちも実感しています。輸入小麦に比べると膨らみにくく、まとまりにくい一面もあります。同じ美瑛産でも、その年の天候によって小麦のふるまいは少しずつ変わります。雨の多かった年は生地がべたつきやすく、粉の吸う水の量が普段と違ってくるので、私たちはそのたびに配合を見直しています。それでも美瑛の小麦を選ぶのは、焼き上がったときの香りと、噛んだ瞬間の自然な甘みが、まるで違うからです。
美瑛の広い大地で育った小麦は、素材そのものに力があります。私たちはその力をできるだけそのまま届けたくて、余計なものを足しすぎないようにしています。パンの材料はごくシンプルで、小麦と天然酵母、水、塩、そしてほんの少しの甘みだけ。保存料や香料に頼らないぶん、日々の管理には気を抜けませんが、それでもこのシンプルさこそが私たちの誇りです。小麦が主役、私たちは黒子。そんな気持ちで毎日の粉と向き合っています。
名古屋の食パン専門店としての現場感
つばめパンは名古屋で7店舗を営む食パン専門店です。専門店だからこそ、食パン一本に全力を注げます。惣菜パンや菓子パンに手を広げず、あえて食パンに絞ってきたのは、「一枚のトーストの幸せ」を追いかけたいから。朝の忙しい時間に、香ばしく焼けた一枚が食卓にあるだけで、その日が少し優しくなる。「小さい子が耳まで残さず食べてくれた」というお声をいただくたびに、この道を選んでよかったと胸が温かくなります。その景色を、私たちはずっと大切にしています。
毎日のパンづくりで、私たちが手をかけていること
発酵は「時間」ではなく「状態」で見る
レシピには発酵時間の目安を書いていますが、実は私たちは時計よりも生地そのものを見ています。夏場は気温が高く発酵が早く進むので、目安より20分ほど短めに切り上げることもありますし、冬はその逆で、いつもよりゆっくり時間をかけます。指でそっと押したときの戻り方、生地がおよそ倍の大きさにふくらんだかどうか、香りの立ち方。そういった小さなサインを読みながら「今日はここまで」と決めています。
数字どおりにやれば楽なのですが、それだと季節によって味がぶれてしまう。もちろん失敗がないわけではなく、読みを誤って発酵が進みすぎた日は、無理に商品にせず作り直すこともあります。私たちが一年を通して同じ美味しさをお届けしたいと思うと、どうしても人の目と手が必要になるのです。
焼き上げの温度と、耳のやわらかさ
「つばめパンの耳はどうしてこんなにやわらかいの」というお声は、本当によくいただきます。ここは私たちなりの工夫があるところで、焼成の温度と時間を細かく調整し、外はほんのり香ばしく、中はふんわり、耳まで角が立ちすぎないように焼き上げています。焼きたてを一枚そのままちぎって食べていただくと、耳のやわらかさをいちばん感じていただけると思います。
とはいえ、これも日によって微調整しています。生地の水分量や発酵の進み具合で、同じ温度でも焼き色は変わるもの。オーブンの前を離れず、窯の中の色を見ながら数分単位で見極めるのが、私たちの毎朝です。焼き上がりを窯から出す「バン」という音と、ふわりと立ちのぼる小麦の香りは、何年続けても飽きることのない、私たちのいちばん好きな瞬間です。
翌日も美味しく召し上がっていただくために
食パンは焼きたてがいちばん、と思われがちですが、私たちは翌日以降も美味しく召し上がっていただけるよう生地を設計しています。天然酵母のパンは水分の抜けがゆるやかで、時間がたってもしっとり感が続きやすいのです。もし少し固くなってきたと感じたら、パンの表面に霧吹きで軽く水分を足してから、予熱したトースターで2〜3分焼いていただくと、焼きたてに近い食感が戻ってきますよ。これは私たちがお客様におすすめしている、ちょっとした裏ワザです。すぐに食べきれないときは、買ったその日のうちに一枚ずつ包んで冷凍していただくのが、いちばん美味しさを保つコツです。
よくある質問
Q1. 天然酵母だと酸っぱくなりませんか
A1. 私たちは酵母を毎日ていねいに管理しているので、強い酸味は出ません。むしろ、やさしい甘みと香りを感じていただけます。もし酸味が気になる時期があれば、遠慮なく店頭でお声がけください。
Q2. 名古屋モーニングにも合いますか
A2. とてもよく合います。バターやあんこ、卵との相性がよく、喫茶店のような朝ごはんをご自宅でも楽しんでいただけます。厚めに切ってあんバターにされる方も多いですよ。
Q3. どんな焼き方がいちばん美味しいですか
A3. 高温で短時間、外はカリッと中はふんわりが私たちのおすすめです。厚めに切って、表面だけを香ばしく焼いてみてください。トースターはあらかじめ温めておくと、より均一に焼き上がります。
Q4. そのまま食べても美味しいですか
A4. はい、焼かずにそのままでも美味しく召し上がれます。小麦の甘みと生地のやわらかさを、いちばん素直に感じていただけます。まずは一枚、そのままで味わってみてください。
Q5. 保存はどうすればいいですか
A5. すぐに食べない分は、買ったその日のうちに一枚ずつラップに包んで冷凍していただくのが安心です。食べるときは凍ったまま、少し長めにトーストできます。
Q6. 美瑛産小麦100%というのは全商品ですか
A6. 食パンの土台となる小麦は北海道美瑛産100%を基本にしています。商品によって配合が異なる場合もありますので、詳しくは店頭のスタッフにお気軽にお尋ねください。
Q7. 子どもにも安心して食べさせられますか
A7. 素材をシンプルにしているので、小さなお子様にも召し上がっていただいています。アレルギーなど心配なことがあれば、遠慮なく店頭でご相談ください。
Q8. 予約はできますか
A8. 店舗によって承っております。人気の時間帯は焼き上がりを待たずに売り切れることもあるので、確実にご希望の際はお電話いただけると安心です。
Q9. 耳が苦手なのですが
A9. 私たちの食パンは耳までやわらかく焼いていますので、耳が苦手な方にも食べやすいと好評です。「これなら耳まで食べられた」というお声もいただきます。ぜひ一度お試しください。
まとめ
最後に、今日お伝えしたことをそっと振り返らせてください。
・私たちのこだわりは、天然酵母と北海道美瑛産小麦100%、そして生地の声を聞くこと
・レシピの数字より、その日の温度と湿度に合わせた微調整を大切にしています
・翌日も美味しく楽しんでいただける工夫を、生地づくりから重ねています
正直なところ、私たちがしていることは決して特別ではありません。素材に正直で、発酵に正直で、毎日おなじことをていねいに続けているだけです。それでも、その積み重ねが、いつものトースト一枚のしあわせにつながっていると信じています。もしお近くにお越しの際は、まだ暖かい焼きたての香りを、ぜひ確かめにいらしてください。私たちはいつでも、笑顔でお待ちしています。
