こんにちは、つばめパンです。食パンのカット厚は、ご自宅でも十分に調整できます。必要なのは特別な道具ではなく、切る前の「少し待つ時間」と、包丁の当て方の小さなコツだけ。正直なところ、これだけで仕上がりはかなり変わります。
「未カットの一斤を買ったけれど、まっすぐ切れる自信がない」「トーストは厚切りが好き、でもサンドイッチは薄くしたい」「せっかくの食パンを、切るところでつぶしてしまうのがこわい」。店頭でも、そんな心の声をよくお聞きします。何ミリで切ればいいのか、包丁は何を使うのか。調べ始めると情報がばらばらで、かえって迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私たちが名古屋の売り場と工房で毎日お伝えしている、厚さの目安と切り方のコツを、そのままの形でご案内します。読み終えるころには、「今日はこの厚さで、こう焼こう」とご自分で決められるようになるはずです。
この記事のポイント
食パンの厚さは「何枚切り」で呼ばれますが、大事なのは枚数ではなくミリ数と用途です。厚さごとの向き不向き、切る前の準備、包丁の動かし方、そして切ったあとの保存まで、順を追ってお話しします。天然酵母と北海道美瑛産小麦100%でつくる私たちのパンならではの、切るときのクセにも触れていきます。
今日のおさらい:要点3つ
・厚さの基準はミリで覚えると迷いません。4枚切りが約30mm、5枚切りが約24mm、6枚切りが約20mm、8枚切りが約15mmが目安です
・粗熱が完全に取れてから切るのが一番のコツ。焼き上がり当日なら、少なくとも2〜3時間は置いてください
・波刃のパン切り包丁を、押さずに引く。力ではなく刃の往復で切ると、断面がつぶれません
この記事の結論
・厚切りは外はカリッと中はもっちり、薄切りは軽くて具材が主役。用途で選ぶのが正解です
・切りにくいと感じたら、腕ではなく「温度」と「刃」を疑ってください
・切ったあとすぐ食べない分は、その日のうちに一枚ずつ包んで冷凍するのが、いちばん風味が残ります
まず知っておきたい、厚さの全体像
「何枚切り」をミリに置きかえる
一斤の高さはおおよそ115〜125mmほど。そこを何等分するかが「何枚切り」の正体です。4枚切りならおよそ30mm、5枚切りでおよそ24mm、6枚切りでおよそ20mm、8枚切りでおよそ15mm、10枚切りだと12mm前後になります。
ご家庭で切るときは、この数字を頭に入れておくだけで十分です。定規をあてる必要はありません。「親指の第一関節くらいが約20mm」「人差し指の幅二本分が約30mm」というふうに、ご自分の手で覚えてしまうほうが実用的です。私たちも売り場でご説明するときは、よく指で幅をつくってお見せしています。
厚さごとの、いちばん美味しい使いどころ
厚切り、つまり30mm前後の4枚切りは、表面だけを香ばしく焼いて、中の水分を閉じ込める食べ方に向いています。フレンチトーストや、たっぷりバターをしみこませたい朝にどうぞ。24mmの5枚切りは、名古屋らしい小倉トーストや厚めのバタートーストにちょうどよく、耳のやわらかさも感じていただける厚さです。
20mmの6枚切りは、いちばん万能。毎日の朝食にも、目玉焼きをのせるにも、ハムとチーズをはさむにも扱いやすい厚さです。15mmの8枚切りは、サンドイッチやピザトースト、ラスクなど、具材や味つけを主役にしたいとき。薄いぶん焼き時間が短くてすむので、朝の時間がない日にも頼りになります。
正直なところ、「どれが一番おいしいか」に正解はありません。同じ一斤でも、半分は厚く、残りは薄くと切り分けてくださるお客様もいらっしゃいます。それも良い楽しみ方だと思っています。ケースによりますが、ご家族で好みが分かれるときは、この切り分けがいちばん平和な解決策かもしれません。
天然酵母のパンならではの、切るときのクセ
私たちのパンは北海道美瑛産小麦100%を天然酵母でゆっくり発酵させているため、水分が多くしっとりしています。そのぶん、焼きたてに近い状態だと刃に生地がまとわりつきやすい、というクセがあります。よくあるのが、「お店で切ってもらったときはきれいだったのに、家だとつぶれる」というご相談。これは腕の問題ではなく、パンの温度の違いであることがほとんどです。売り場でお切りするときは、すでに十分に冷めた状態のものを扱っていますので、刃がすっと通るのです。
もうひとつ、天然酵母のパンは日がたつにつれて水分がゆるやかに抜けていきます。ですので、買った当日と二日目では、切り心地が少し変わります。二日目以降はむしろ刃が入りやすくなりますから、薄くきれいに切りたい日は、あえて翌日に回すという手もあります。ここは覚えておくと便利です。
家庭でうまく切るための、具体的なコツ
切る前の「待つ時間」と、少しだけ冷やすこと
焼き上がった直後のパンは、中でまだ水蒸気が動いています。この状態で刃を入れると、断面が押しつぶれてもちもちに固まってしまいます。目安として、粗熱が取れるまで2〜3時間。お買い上げいただいた当日でしたら、袋の内側の曇りが消えているかどうかが、ひとつの合図です。
どうしても切りにくいときは、切る直前に冷蔵庫へ15〜20分だけ入れてみてください。生地が少し締まって、驚くほど刃が通ります。ただし冷蔵庫は食パンにとって乾燥しやすい場所ですので、長時間の保管には向きません。あくまで「切るためだけの短時間」と覚えていただければ。
包丁は押さない、引く。ガイドは自分の手で
使っていただきたいのは、刃先が波になったパン切り包丁です。三徳包丁でも切れないことはありませんが、断面がつぶれやすくなります。
コツは、上から体重をかけないこと。刃の先を切りたい位置に軽くあて、前後に大きく往復させながら、刃の重さだけで下りていくイメージです。ノコギリを使う感覚に近いかもしれません。パンを押さえる手は、力を入れず添えるだけ。ぎゅっと押さえると、その形のままつぶれてしまいます。
厚さを揃えたいときは、まず一斤をちょうど半分に切り、さらにその半分、さらに半分、と等分していく方法がおすすめです。端から順に測って切るより、格段にそろいます。6枚切りにしたいなら、半分→さらに三等分。慣れないうちは、ケースによりますが多少ゆがんでも気にしないでください。味は変わりません。
切ったあとの保存と、厚さ別の焼き方の目安
その日に食べきれない分は、切ってすぐに一枚ずつラップで包み、冷凍用の保存袋に入れて冷凍してください。常温で置いておくより、はるかに風味が保たれます。目安は2〜3週間。解凍はせず、凍ったままトースターに入れていただいて大丈夫です。
焼き時間は厚さで変えてください。予熱をしたトースターで、15mmなら1分半〜2分、20mmなら2〜3分、30mmの厚切りなら3〜4分ほど。厚切りのときは、表面に軽く霧吹きをしてから焼くと、中のしっとり感が残ります。表面が先に焦げそうな場合は、途中でアルミホイルをふわりとかぶせてあげてください。実は、この一手間がいちばん効きます。
よくある質問
Q1. パン切り包丁がありません。普通の包丁でも切れますか
A1. 切れますが、断面はつぶれやすくなります。よく研いだ包丁で、押さずに引くように動かしてください。刃渡りが長いほうが切りやすいです。
Q2. 何枚切りがいちばん人気ですか
A2. 店頭では6枚切りと5枚切りをお選びになる方が多いです。トースト中心なら5枚切り、用途がいろいろなら6枚切りが使いやすいと思います。
Q3. 焼きたてを買ったその場で切ってもいいですか
A3. おすすめはしません。熱が残っているとつぶれやすいので、2〜3時間ほど置いてからにしてください。冷めてからのほうが香りも落ち着きます。
Q4. 切ると刃にパンがくっついてしまいます
A4. パンが温かいか、湿気がこもっているサインです。少し冷ましてから、刃を乾いた布で拭きながら切ってみてください。
Q5. 厚さがどうしても不揃いになります
A5. 端から順に切らず、半分→半分と等分していく方法をお試しください。目印として、まな板に厚さの目安を置いておくのも有効です。
Q6. 冷凍したパンは切り直せますか
A6. 凍った状態では切りにくく危険ですので、必ず切ってから冷凍してください。一枚ずつ包んでおくと、必要な分だけ取り出せます。
Q7. サンドイッチには何ミリがいいですか
A7. 15mm前後の8枚切りが扱いやすいです。具材をたっぷりはさみたい場合は、12mmくらいまで薄くしても良いと思います。
Q8. 耳は切り落としたほうが美味しいですか
A8. 私たちは耳までやわらかく焼き上げていますので、そのまま召し上がっていただけます。小さなお子様には、薄めに切ると食べやすいようです。
Q9. 厚切りの中が乾いてしまいます
A9. 焼く前に表面へ軽く霧吹きをし、予熱したトースターで短時間で焼き上げてください。焼きすぎが原因のことが多いです。
Q10. お店でカットをお願いすることはできますか
A10. 店頭でご相談いただければ対応しております。ご希望の厚さがあれば、お気軽にお申しつけください。
Q11. 未カットの一斤と、切ってある商品はどちらがおすすめですか
A11. 用途が決まっているなら切ってあるほうが手軽です。厚さを自由に変えたい方、風味をより長く楽しみたい方には未カットをおすすめしています。
Q12. 電子レンジで少し温めてから切ってもいいですか
A12. おすすめしません。温めると生地がやわらかくなりすぎて、かえってつぶれやすくなります。冷やす方向で調整してください。
まとめ
・厚さは「何枚切り」ではなくミリで覚えると、用途に合わせて選びやすくなります
・切る前に粗熱を取る。当日なら2〜3時間、急ぐときは冷蔵庫に15〜20分だけ
・波刃の包丁を押さえつけず、前後に引いて切る。パンを押さえる手も添えるだけ
・等分していく切り方なら、厚さは自然にそろいます
・食べきれない分は、その日のうちに一枚ずつ包んで冷凍を
カットの厚さは、そのまま「どんな朝を過ごしたいか」の選択でもあります。厚く切ってゆっくり味わう日も、薄く切って慌ただしく出かける日も、どちらもその日のかたち。私たちのパンが、そんな毎日のそばにいられたら嬉しく思います。切り方で迷われたときは、どうぞ店頭でお声がけください。
