お子さまと食べる食パンは、むずかしい知識がなくても選べます。見ていただきたいのは「やわらかさ」「厚み」「その日の食べ方」の三つだけ。正直なところ、それ以上のことはほとんど必要ありません。とはいえ、店頭でお子さまを抱っこしながら棚の前で立ち止まり、「これって何歳から食べさせていいんだろう」「うちの子、耳だけ残すんですよね」「厚切りと薄切り、どっちを買えばいいの」と迷われるお気持ちは、私たちもよく存じています。調べてみても離乳食の話と大人向けの話が混ざっていて、結局どうすればいいのか分からない。そんなお声も、店頭ではよくいただきます。この記事では、名古屋で食パン専門店を営む私たちが、お子さまと食べる食パンをどう選び、どう切って、どう焼いているかを、ふだん店頭でお伝えしている言葉のままご紹介します。明日の朝ごはんの一枚を迷わず選べるようになっていたら嬉しいです。
この記事のポイント
お子さま向けの食パン選びで私たちが大事にしている「やわらかさ」の見分け方、年齢に合わせた厚みと切り方の目安、そしてトーストの温度と時間のちょっとしたコツまで。よくある失敗と、その直し方も包み隠さずお伝えします。難しい話は抜きにして、明日の朝からすぐ試していただける内容だけを集めました。
今日のおさらい:要点3つ
・耳までやわらかいパンを選ぶと、お子さまが残さず食べてくれることが多くなります
・厚みは1.5cm前後から。慣れてきたら少しずつ厚くしていくのが私たちのおすすめです
・焼きすぎないこと。表面が色づく手前で止めるほうが、小さなお子さまには食べやすくなります
この記事の結論
・選ぶ基準は「やわらかさ」。原材料がシンプルなものだと、なお安心です
・切り方と焼き方を変えるだけで、食べ残しはかなり減ります
・体質やアレルギーのご心配は、かかりつけの先生にご相談のうえで進めてください
お子さまと食べる食パンを、私たちはこう考えています
いちばんの目安は「やわらかさ」です
お子さまと食べる食パンを選ぶとき、私たちが最初にお伝えするのは「耳までやわらかいかどうか」です。お子さまの噛む力は大人ほど強くありませんので、耳が固くて角が立っていると、そこだけ口に残してしまいます。よくあるのが、「白いところは食べるのに耳は残す」というご相談。これは好き嫌いというより、単純に噛み切りにくいことが理由であることがほとんどです。
やわらかさを見分けるコツは、パンの角をそっと指で押してみること。すっと沈んで、ゆっくり戻ってくるようなら、お子さまでも噛み切りやすい生地です。私たちの食パンは、焼成の温度と時間を細かく見ながら、外は香ばしく中はふんわり、耳の角が立ちすぎないように焼き上げています。だからこそ「うちの子が耳まで食べてくれました」というお声をいただくことが多く、そのたびに工房の空気がぱっと明るくなります。
年齢ごとの目安と、私たちがお伝えしていること
「何歳から食べられますか」というご質問は、店頭でいちばん多くいただきます。ここは正直にお答えしますと、食パンをいつから始めるかは、お子さまの月齢や噛む力、ご家庭の進め方によって本当にさまざまです。ですので私たちは、決まった年齢を断定してお伝えすることはしていません。かかりつけの小児科や、自治体の離乳食相談で受けたご案内を第一にしてください。
そのうえで、実際にお客様からうかがう範囲での目安としては、ごく小さなお子さまには薄く切ってやわらかくしたものを少量から、離乳が進んでいるお子さまには1cmほどのスティック状に、幼児期に入ったお子さまには1.5cm前後の厚みで、といった進め方をされる方が多いように感じます。ケースによりますが、急がずに、その子のペースに合わせていただくのがいちばんです。噛む力はある日ふっと伸びますので、今日食べにくそうでも、一か月後には平気で頬張っていた、ということもよくあります。
素材がシンプルであることの安心
私たちの食パンは、北海道美瑛産の小麦100%と天然酵母、水、塩、そしてほんの少しの甘みでできています。保存料や香料には頼っていません。お子さまに食べさせるものだからこそ、何が入っているかが分かることに安心を感じてくださる方は多く、「原材料が短いのがいい」とおっしゃっていただくことがあります。
ただ、ひとつだけ正直にお伝えしておきたいことがあります。私たちの食パンは小麦でできています。小麦や乳、その他の食材にご不安がある場合は、必ず事前に店頭でおたずねください。製造工程のご説明は、できる範囲でしっかりお答えします。無理におすすめすることはいたしませんので、気になることはどうぞ遠慮なく。
食べやすくするための、私たちのおすすめと注意点
厚みと切り方で、食べやすさは大きく変わります
同じ一枚でも、切り方を変えるだけでお子さまの食べっぷりはずいぶん変わります。まだ手づかみの時期でしたら、1cmほどの厚みに切ってから、さらに縦に細長く、スティック状にしてお出しするのがおすすめです。小さな手でも握りやすく、自分で口へ運べることが、食べる楽しさにつながります。
もう少し大きくなられたら、1.5cm前後の厚みで、四つに切り分けてあげるくらいがちょうどよい大きさです。このとき、耳をどうするか迷われる方が多いのですが、私たちは「まずは耳をつけたままでどうぞ」とお伝えしています。耳がやわらかい状態なら、そのまま食べられるお子さまが多いからです。それでも残されるようでしたら、無理をせず切り落としてあげてください。切り落とした耳は、細かくちぎってスープに浮かべたり、フライパンで軽く炒めてきなこをまぶしたりすると、おやつとして喜ばれます。もったいないので、ぜひ。
トーストの温度と時間の目安
お子さまと食べる場合、私たちがおすすめするのは「焼きすぎない」ことです。大人向けであれば高温で一気に、外はカリッと焼くのが美味しいのですが、小さなお子さまにはその香ばしい部分が固く感じられることがあります。あらかじめ温めておいたトースターで、1.5cmの厚さなら1分半から2分ほど、表面にうっすら色がつくくらいで止めていただくと、中のふんわりとした食感が残ります。
それと、焼きたては想像以上に熱いです。当たり前のようでいて、忙しい朝ほど見落としがちなところ。私たちも、焼き上がりを2〜3分ほど置いてから切り分けるようにしています。中心部分は特に熱がこもりますので、切ったあとに一度触れて確かめてから、お子さまの前に置いてあげてください。
よくある失敗と、その直し方
ひとつめは、甘いものを足しすぎてしまうこと。ジャムやはちみつをたっぷり塗ると喜んでくれるので、つい。でも、それが続くと今度はパンそのものを食べてくれなくなる、というお悩みをうかがうことがあります。私たちの食パンは小麦の甘みがしっかりありますので、まずは何も塗らずに一枚、そのままお出ししてみてください。「何もつけないほうが食べた」という声も、実は少なくありません。なお、はちみつは1歳未満のお子さまには与えないよう広く注意が呼びかけられていますので、そこだけはお気をつけください。
ふたつめは、買ったパンを常温で置きすぎてしまうこと。天然酵母のパンは水分の抜けがゆるやかで、翌日もしっとりしやすいのですが、それでも二日三日と置けば固くなります。固くなると、お子さまはとたんに食べにくくなります。すぐに食べきれない分は、買ったその日のうちに一枚ずつ包んで冷凍していただくのがいちばんです。
みっつめは、固くなったパンをそのまま焼いてしまうこと。表面に霧吹きで軽く水分を足してから、温めておいたトースターで2〜3分焼いていただくと、焼きたてに近いしっとり感が戻ってきます。ちょっとしたことですが、効果は大きいです。
よくある質問
Q1. 何歳から食べさせていいですか
A1. お子さまの月齢や噛む力によって異なりますので、私たちから年齢を断定してお伝えすることはいたしません。かかりつけの先生や自治体の離乳食相談でのご案内を第一にしてください。
Q2. 耳を残してしまいます
A2. 噛み切りにくいことが理由であることがほとんどです。やわらかいうちに薄めに切ってお出しするか、無理をせず耳を切り落としてあげてください。
Q3. 厚みはどれくらいがいいですか
A3. 手づかみの時期は1cmほどのスティック状、幼児期に入られたら1.5cm前後を目安にされる方が多いです。慣れに合わせて少しずつ調整してみてください。
Q4. 焼いたほうがいいですか、そのままがいいですか
A4. どちらでも召し上がれます。小さなお子さまには、焼かずにそのままか、うっすら色づく程度の軽い焼き加減が食べやすいと思います。
Q5. アレルギーが心配です
A5. 私たちの食パンは小麦を使っています。ご心配な場合は必ずかかりつけの先生にご相談のうえ、気になる点は店頭でおたずねください。分かる範囲でしっかりお答えします。
Q6. 冷凍したパンはどう焼きますか
A6. 凍ったまま、いつもより少し長めにトーストしてください。解凍せずに焼くほうが、水分が逃げにくく、ふんわり仕上がります。
Q7. 何を塗るのがおすすめですか
A7. まずは何も塗らずに味わっていただくのがおすすめです。物足りなければ、薄くバターを。はちみつは1歳未満のお子さまには与えないでください。
Q8. 名古屋モーニングのような食べ方も子どもに合いますか
A8. よく合います。あんことバターの組み合わせはお子さまにも人気ですが、量は控えめに、薄めに塗ってあげるとちょうどよいと思います。
Q9. 持ち帰るときに気をつけることはありますか
A9. 夏場は車内に置きっぱなしにしないでください。高温で傷みやすくなります。お帰りが遅くなりそうなときは、店頭でお声がけいただければご相談にのります。
Q10. 子ども連れでもお店に入りやすいですか
A10. どうぞ安心してお越しください。ベビーカーでご来店される方もたくさんいらっしゃいます。混み合う時間を避けたい場合は、開店直後の時間帯が比較的ゆっくりお選びいただけます。
まとめ
・選ぶ基準は「やわらかさ」。角をそっと押して、すっと沈むものを目安にしてください
・厚みは1cmから1.5cm前後を目安に、お子さまの噛む力に合わせて調整を
・焼きすぎないこと、焼きたてを少し冷ますこと。この二つで食べやすさが変わります
・残った耳はスープやおやつへ。食べきれない分はその日のうちに冷凍を
・年齢やアレルギーのご不安は、必ずかかりつけの先生にご相談ください
お子さまが食パンを一枚、最後まで食べきってくれた朝。それは私たちにとっても、本当に嬉しい光景です。うまくいかない日があっても大丈夫。噛む力も好みも、少しずつ変わっていきます。どうか焦らず、その子のペースで。もし迷われたときは、店頭でどうぞお気軽にお声がけください。私たちはいつでも、ご家庭の食卓のとなりにいるつもりで、今日もパンを焼いています。
